Article
鉱物学:ブリッジマナイト巨大結晶がマグマオーシャンの分離を駆動した可能性
Nature 650, 8101 doi: 10.1038/s41586-025-10063-5
地球の初期マントルは、おそらく深部で活発に対流するマグマオーシャンとして存在し、その固化は、地球の長期的な化学進化と力学的進化の中核を成したと考えられている。しかし、下部マントルの支配的な相であるブリッジマナイトの結晶粒径は極めて不確かで、その超高圧における核形成挙動はまだ実験的に手が届かない。今回我々は、機械学習ポテンシャル(MLP)によって駆動される最大100万個の原子から構成される大規模分子動力学的シミュレーション、シーディング、拡張サンプリングといった最先端の手法を組み合わせて、MgSiO3ブリッジマナイトの結晶–融液界面エネルギーが圧力とともに大きく増大し、周囲圧力でケイ酸塩–液体系の界面エネルギーの最大10倍になることを示す。深部の基底マグマオーシャン(BMO)では、この増幅された界面エネルギーが潜在的にゆっくりとした冷却と組み合わさって、最大でセンチメートルからメートルのスケールのサイズの非常に大きなブリッジマナイト結晶の形成を許容する可能性がある。このように大きい可能性のある結晶は、効率的な分別結晶化を駆動し、大きな化学的分化とマントルの圧縮を引き起こす可能性がある。このような機構が働いているのであれば、下部マントル物質の性質と初期地球の成層化を結び付ける新しい物理的経路が得られ、過冷却、組成対流、元素分配を明示的に取り込んだ将来の地球力学的モデルの動機付けとなる。従って今回の知見から、微視的な核形成過程と巨視的な惑星構造を結び付けるもっともらしい仮説が得られ、地球内部がどのようにしてその初期の組成構造を獲得したかについての現在の考え方が洗練される。

