Article

触媒反応:アルミニウム酸化還元触媒反応によるアルキンの環化三量化

Nature 650, 8101 doi: 10.1038/s41586-025-09941-9

アルミニウム(Al)は、地殻の8%以上を構成する、最も豊富な金属成分である。歴史的に、アルミニウム触媒反応では、安定な+III酸化状態に関連する固有のルイス酸性が主に利用されてきた。アルミニウムは、電気陰性度が特異的に低く(1.61で、pブロック元素の中で最も低い)、不活性電子対効果を示さないため、触媒的酸化還元変換に関与することが本質的に大変困難である。今回我々は、低原子価アルミニウム種であるカルバゾリルアルミニレンの酸化還元触媒能について報告し、これが、これまで遷移金属触媒反応でしか起こらなかった基本的機構段階である酸化的付加、二重挿入、分子内異性化、還元的脱離を含む、完全なAl(I)/Al(III)触媒サイクルを実現することを示す。我々は、このAl(I)/Al(III)酸化還元サイクルを利用して、アルキンの高効率で位置選択的なレッペ環化三量化を実現し、最大2290の回転数で多様なベンゼン誘導体を生成した。我々は、X線結晶構造解析と量子化学的解析を通して、カルバゾリル配位子骨格内の窒素の動的形状が、アルミニウムの配位環境を精密に調整して、この触媒サイクルを促進する仕組みを解明した。今回の研究は、主族元素の酸化還元触媒反応の概念的理解を根本的に前進させるものであり、さらには、アルミニウムの酸化還元変換を中心とする将来の触媒設計や持続可能な合成方法論に向けて、説得力のある先例を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度