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神経科学:TSCは新皮質において前駆細胞のバランスと浅層ニューロンの産生を調整する
Nature 650, 8101 doi: 10.1038/s41586-025-09810-5
脳浅層ニューロンの適切な産生は、複雑な脳機能の基盤となる回路を形成するために必要である。放射状前駆細胞は非対称に分裂して、神経原性中間前駆細胞(IP、単に中間前駆細胞とも呼ばれる)を生じ、IPは対称に分裂して皮質ニューロン集団を急速に拡張する。皮質前駆細胞のバランスの取れた多様性を動的に維持し、その結果として適切な数の各種クラスのニューロンを産生、配置、結合することで、正しく配線された大脳皮質の形成が導かれる。しかし、前駆細胞のバランスを支持する分子ロジックは、依然として未解明である。今回我々は、細胞内代謝の主要な調節因子タンパク質であるTSC(tuberous sclerosis complex)が、放射状前駆細胞と中間前駆細胞のバランス、放射状ユニットの構成、その結果としての浅層ニューロンの産生を形作る機能を担うことを示す。発生過程でTSCタンパク質を欠損させると、放射状前駆細胞とIPのバランスが変化して放射状ユニットの構成が変わり、浅層ニューロンの産生が増して異常な皮質神経結合が生じた。ヒト特異的エンハンサーを介して、TSCタンパク質の発現をヒト特異的に調節すると、前駆細胞のバランスと浅層ニューロンの産生が影響を受けた。従って、進化の過程でTSCタンパク質の発現が減少したことが、ヒトの高次脳機能に必要な放射状ユニットの形成と浅層ニューロンの産生拡大を導く有力な道程だった可能性がある。

