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分子生物学:ウイルスRNAは環状化を遮断することで宿主のコドン使用制限を回避する

Nature 649, 8099 doi: 10.1038/s41586-025-09809-y

コドン使用頻度バイアス(特定の同義コドンの優先的な使用)は、全てのゲノムに見られる基本的な性質である。これまでに調べられた全ての生物で、コドンの使用は遺伝子発現レベルの決定に重要な役割を果たしている。ヒトに感染するウイルスのほとんど全てが、ヒト遺伝子とは異なったコドン使用パターンを示すが、ウイルスは宿主細胞中で効率良く自己タンパク質を発現させて、疾患やパンデミック(世界的大流行)を引き起こす。ウイルスRNAの翻訳によるコドン使用制御の回避機序については不明である。今回我々は、ウイルスタンパク質もヒト遺伝子と同じように、翻訳される際には強力なコドン使用制御を受けるものの、ウイルスレプリコンから翻訳される際には、この制御を回避できることを示す。この回避に関わっているのは、さまざまなヒトウイルスが持つ5′非翻訳領域(UTR)であり、これはコドン使用頻度に左右されることなく翻訳を助けている。カノニカルなmRNA翻訳はコドン使用に依存しており、5′キャップ構造、3′ポリA尾部とそれに結合するタンパク質を必要とすることから、コドン使用が翻訳に及ぼす影響には、mRNAのループ形成が役割を果たしていることが示唆される。ウイルスの5′UTRを持つmRNAの環状化によってコドン使用頻度に依存した翻訳が復活するが、それは主として、最適でないコドンを使用したRNAの発現が抑制されるためであった。これらの結果は、mRNAの環状化がコドンの使用に依存した翻訳開始に不可欠であり、ウイルスRNAは環状化を遮断することによってこの制御機構をバイパスして、好ましくないコドン使用プロファイルであっても、効率の良い翻訳を可能にすることを示唆している。

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