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神経科学:柔軟な動作のタイミングを実現する皮質–基底核ループの積分器的ダイナミクス
Nature 649, 8099 doi: 10.1038/s41586-025-09778-2
柔軟な動作タイミングの制御は行動にとって極めて重要である。随意運動の開始前に、前頭皮質と線条体の神経発火は漸増的なダイナミクスを示し、その漸増率から運動の開始タイミングを予測できる。この皮質–基底核ループの活動は、望ましいタイミングで動作を引き起こす調整可能な「タイマー」として機能している可能性がある。しかし、前頭皮質と線条体は類似した漸増的ダイナミクスを示し、かつ両者とも行動のタイミング調整に必須であるため、このタイマー機能におけるそれぞれの役割を区別することは困難であった。これに取り組むため、本研究で我々は、舐めるタイミングを調節する課題を実行中のマウスにおいて、多領域からの電気生理記録と神経活動阻害実験を行った。前頭皮質の神経活動を一過的に抑制すると、抑制後に皮質と線条体の活動は速やかに抑制前のレベルへと回復して漸増を再開し、その結果、動作のタイミングは抑制時間にほぼ対応する分だけ遅れた。一方、線条体を短時間抑制すると、両領域の漸増活動は徐々に低下して、抑制後の低いレベルから漸増が再開し、その結果、動作のタイミングは抑制時間を大きく超えて遅延した。このように、前頭皮質と線条体の神経活動の抑制は、それぞれタイマーの「一時停止」と「巻き戻し」に相当する効果をもたらした。これらの結果は、線条体が、前頭皮質からの入力を時間的に積分し、動作のタイミングを制御する漸増神経活動を生成するネットワークの一部であることを示唆している。

