材料科学:3D印刷された低電圧駆動の繊毛ヒドロゲル・マイクロアクチュエーター
Nature 649, 8098 doi: 10.1038/s41586-025-09944-6
マイクロメートルサイズの密集した天然の繊毛は、動的に調整可能な集団パターンを伴う非相反的な三次元(3D)運動を行いマイクロスケールの移動運動、栄養獲得、細胞トラフィッキング、胚発生、神経発生などの生物学的過程に不可欠である。しかし、人工系においてこうした運動を再現することは、マイクロメートルスケールでのスケーラブルで局所的に制御可能な軟体アクチュエーションの限界を考慮すると、いまだ困難である。この課題を克服できれば、繊毛ダイナミクスの理解が深まり、その生物学的重要性が明らかになり、新しいマイクロスケールデバイスや生体模倣技術が可能になると思われる。今回我々は、加水分解を伴わずに最低1.5 Vの電圧によって誘起される、これまで認識されていなかったマイクロメートルスケールのヒドロゲルの高速電気的応答を示す。この応答は、二光子重合によって3D印刷されたナノメートルスケールのヒドロゲルネットワークを横切るイオンマイグレーションによって曲げ運動が駆動されることで、数ミリ秒以内に起こる。我々は、これらの知見を基に、アクリル酸とアクリルアミドを共重合した(AAc-co-AAm)軟らかいヒドロゲル(弾性率約1000 Pa)からなり、電気刺激に対して数ミリ秒以内に応答する、ゲルマイクロ繊毛アレイを印刷した。各マイクロ繊毛は、直径2~10 μm、高さ18~90 μmで、最大40 Hzの3D回転的曲げ運動を実現し、これらは天然繊毛の形状とダイナミクスによく似ている。これらのゲルマイクロ繊毛は33万回の連続アクチュエーションサイクル後も機能性を維持し、その性能低下は30%未満であった。今回のゲルマイクロ繊毛アレイは、柔軟なポリイミド基板上に統合でき、従来のリソグラフィー法を用いて大規模に作製できる。今回の繊毛アレイはまた、マイクロ電極アレイによって個別に動的制御することもでき、マイクロメートルスケールでの流体操作や粒子輸送も可能にする。

