免疫学:好中球区画の構造
Nature 649, 8098 doi: 10.1038/s41586-025-09807-0
好中球は、組織や疾患にわたって顕著な表現型多様性および機能的多様性を示すが、この免疫区画が全体的にどのように組織化されるのかは分かっていないため、臨床への応用が困難となっている。今回我々は、マウスにおいて解剖学的、生理学的、病理学的な47の状況での好中球の単一細胞転写プロファイル解析を行い、好中球区画全体の統合的な地図を作成し、NeuMapと命名した。NeuMapは、既存のモデルを統合かつ拡張して基本的な新規の知見を生み出した。すなわち、好中球は有限な数の機能的ハブとして組織化され、成熟の過程でそれらが順次分布し、その後、インターフェロン応答性状態や免疫抑制状態、さらには健康な血中で大半を占める機能的静止状態へと分岐することが明らかになった。計算モデル化やタイムスタンプ解析によって、これらのハブを連結する典型的な経路が特定され、その動態や優先される経路は健康や炎症、がんにおいて変化することが明らかとなった。我々は、TGFβ、IFNβ、GM-CSFが好中球を異なる経路へ押し進めることを示す。また、クロマチンアクセシビリティー部位をNeuMapへ投影すると、転写因子JUNBが血管新生や免疫抑制の状態を制御し、組織の血管再生を促進することが明らかになった。NeuMapの構造は、性別、環境的背景、遺伝的背景を超えて、そしてヒトでも保存されているようである。さらに我々は、血中の好中球をプロファイリングすることで、NeuMapが宿主の病態生理学的な状態の推定を可能にすることを示す。我々の研究は、好中球区画の全体的な構造を明らかにし、好中球の生物学的特性の探索や活用のための枠組みを確立するものである。

