健康科学:まれな遺伝的バリアントはADHDのリスクを高め、神経生物学的特性に関与する
Nature 649, 8098 doi: 10.1038/s41586-025-09702-8
注意欠陥多動性障害(ADHD)は小児期に発症する神経発達障害で、遺伝的要因の関与が大きい。ADHDは小児の約5%、成人の約2.5%が罹患しており、いくつかの重篤な転帰と関連付けられている。ADHDに関連するありふれた遺伝的バリアントは特定されているが、ADHDにおけるまれなバリアントの役割はほとんど分かっていない。今回我々は、8895人のADHD患者と5万3780人の対照群から得られたエキソーム塩基配列解読データにおいて、まれなコードバリアントを解析することにより、ADHDに関与する3つの遺伝子(MAP1A、ANO8およびANK2;P < 3.07 × 10−6;オッズ比5.55〜15.13)を特定した。これら3つの遺伝子のタンパク質間相互作用ネットワークは、他の神経発達障害のまれなバリアントリスク遺伝子と、細胞骨格の組織化やシナプス機能、RNAプロセシングに関与する遺伝子で豊富であった。最も関連性の高いまれなバリアントリスク遺伝子は、出生前と出生後の脳の発達段階を通して、また、GABA作動性(γ-アミノ酪酸産生性)ニューロンおよびドーパミン作動性ニューロンなどの複数のニューロン細胞タイプにおいて、発現が上昇していた。有害なバリアントは、ADHD患者の社会経済的地位の低さや教育レベルの低さの他、ADHDの成人患者サンプル(n = 962)における、まれな有害バリアント1つ当たり2.25ポイントの知能指数(IQ)低下と関連していた。ADHDと知的障害のある患者では、全体的にまれなバリアントの負荷の増加が見られたのに対し、他の精神科併存症では、それらの併存症と関連する特定の遺伝子セットにのみ負荷の増加が見られた。この結果は、ADHDにおける精神科併存症が、制約を受けた遺伝子全体での全般的な負荷の増加ではなく、主に特定の遺伝子のまれなバリアントによって駆動されることを示唆している。

