Article
量子センシング:エンタングルメント増強ナノスケール単一スピンセンシング
Nature 647, 8091 doi: 10.1038/s41586-025-09790-6
個々のスピンを、安定状態および準安定状態を含めて検出することは、量子センシングにおける根本的な課題であり、その応用は、物性物理学、量子化学、単一分子磁気共鳴画像化など多岐にわたる。ダイヤモンド中の窒素空孔(NV)中心は強力なナノスケールセンサーとして登場したものの、単一スピン検出の性能は、本質的な環境雑音とセンシング体積の制限によって依然として制約されている。今回我々は、エンタングルしたNV対を戦略的に使用することによってこうした限界を克服する、エンタングルメント増強センシングのプロトコルを提案・実証する。我々の手法では、周囲条件下での単一NV中心と比較して、感度が3.4倍増強し、空間分解能が1.6倍向上した。このプロトコルは、環境雑音を抑制しつつ量子干渉によって標的スピンの信号を増幅するよう、注意深く操作されたエンタングル状態を使用する。重要なことに、我々はこうした能力を拡張して準安定な単一スピンのダイナミクスを分解し、状態依存の結合強度を識別することで、異なるスピン状態間の確率的遷移を直接観測した。この二面的な機能により、複雑な量子系の研究に向けた静的スピン種と動的スピン種の同時検出が可能になる。今回達成された性能は、エンタングルメント増強センシングが、量子材料や界面の原子スケールでの特性評価に向けた実現可能な道筋であることを確立するものである。

