環境科学:気候変動下の米国における山火事の煙への曝露と死亡負荷
Nature 647, 8091 doi: 10.1038/s41586-025-09611-w
米国では山火事の頻度と規模が増大しており、将来の気候変動の下ではそれが加速すると予測されている。しかし、気候変動が山火事の頻度や規模、煙、健康転帰に及ぼす影響についての我々の理解は依然として非常に不確かで、これは、気候から山火事、そして大気汚染や健康へとつながる因果連鎖をモデル化することが難しいためである。今回我々は、米国における、気候変動の下での山火事の煙の微小粒子状物質(PM2.5)に起因する死亡負荷を定量化する。我々は、気候を山火事の煙のPM2.5と関連付ける統計モデルと機械学習モデルのアンサンブルを構築し、米国における全死亡記録データを用いて、煙のPM2.5と死亡率の間の関係を経験的に推定した。その結果、高排出シナリオ(共通社会経済経路シナリオ〔SSP〕3-7.0)の下では、2050年までに、煙のPM2.5に起因して超過死亡数が年間7万1420人(95%信頼区間:3万4930~9万8430人)に達すると予測された。これは、2011~2020年の煙による年間超過死亡数の推定平均と比べて73%の増加に相当する。煙のPM2.5による累積超過死亡数は、2026年から2055年の間に190万人に達する可能性がある。我々は、煙のPM2.5による死亡率への影響が、曝露後も最長3年間持続するという証拠を見いだした。貨幣価値に換算すると、気候に駆動される煙による死亡の経済的損害は、米国の気候に駆動される他の全ての原因を合わせた損害の既存の推定値を上回る。我々の研究は、米国では、気候に駆動される山火事の煙の健康への影響が、温暖化する気候の最も重要かつ最も損害の大きい影響の1つである可能性を示唆している。

