微生物学:CRISPR–Cas10ミニチュア酵素は抑制性シグナル伝達により免疫を生じる
Nature 647, 8091 doi: 10.1038/s41586-025-09569-9
微生物とウイルスの共進化は、オリゴヌクレオチドシグナル伝達が関与する免疫機構を生み出し、その機構的特徴はヒトの抗ウイルス系と共通している。細菌のCBASS(cyclic oligonucleotide-based antiphage signalling system)やIII型CRISPR系、およびヒトにおけるcGAS–STING(サイクリックGMP–AMPシンターゼ–stimulator of interferon genes)などのこうした経路では、細胞内でウイルスあるいは外来遺伝物質が検出されるとオリゴヌクレオチド合成が起こり、これが抗ウイルス応答の引き金を引く。今回我々は、この過程には予想外の逆向き過程があり、CRISPR関連酵素mCpolが、毒性のあるエフェクターを抑制する能動的な機構の一部として、サイクリックオリゴヌクレオチドを構成的に合成していることを示す。細胞ベースの実験から、mCpolが産生するサイクリックオリゴヌクレオチドが存在しない、あるいは失われると、細胞死が引き起こされ、これによって宿主のサイクリックヌクレオチドが枯渇して免疫回避を試みるウイルスの拡散が防がれることが実証された。構造および機構の解析により、mCpolはジアデニル酸シクラーゼであり、その産物であるc-di-AMPは、エフェクタータンパク質2TMβが毒性オリゴマーを形成するのを阻害することが明らかになった。蛍光顕微鏡による細胞の解析では、mCpolの欠損によって、内膜崩壊に起因する2TMβを介した細胞死が生じることが示された。これらの知見は、ウイルスを介した免疫抑制に対する強力な防御戦略を明らかにしており、これによって免疫におけるオリゴヌクレオチドの役割についての理解が広がる。

