微生物学:パノプテス系はサイクリックヌクレオチドをデコイとして用いてファージに対して防御する
Nature 647, 8091 doi: 10.1038/s41586-025-09557-z
細菌は抗ファージ系を用いてファージ感染に対抗しており、多くの系は感染時にヌクレオチド由来のセカンドメッセンジャーを生成し、エフェクタータンパク質を活性化して免疫を仲介する。ファージは、これらのセカンドメッセンジャーを枯渇させる対抗的な防御で応答するため、宿主との軍拡競争は激化していく。本論文では、我々が「パノプテス(Panoptes)」と名付けた抗ファージ系の概要について説明する。パノプテスは、ファージタンパク質がヌクレオチド由来のセカンドメッセンジャープールに対して拮抗する際に、ファージ感染を間接的に検知する。パノプテスは、2つの遺伝子からなるoptSEというオペロンで、OptSはヌクレオチド由来のセカンドメッセンジャーを合成し、OptEはそのシグナルに結合してエフェクターを介して防御を駆動すると予測される。結晶構造によって、OptSが最小のCRISPRポリメラーゼ(mCpol)ドメイン、すなわちIII型CRISPR系(Cas10)で見られるポリメラーゼドメインの一種であることが分かった。2つの異なるパノプテス系由来のOptSオルソログは、2′,3′-サイクリックジアデノシン一リン酸(2′,3′-c-di-AMP)などのサイクリックジヌクレオチド産物を生成し、我々は、これらがOptE膜貫通エフェクターの可溶性ドメインに結合できることを示した。パノプテスはファージ複製を強力に制限するが、抗CBASS(cyclic oligonucleotide-based antiphage signalling system)タンパク質2(Acb2)に機能喪失変異を持ったファージは防御を回避した。Acb2はセカンドメッセンジャーのシグナル伝達に対して拮抗するヌクレオチド「スポンジ」であるため、これらの知見は予想外であった。我々のデータは、Acb2によるサイクリックヌクレオチドの隔離が、OptEの毒性を解放することで、内膜の破壊を引き起こしてファージから防御するという考えを支持している。これらのデータは、細菌がセカンドメッセンジャーのプールを保護し、ウイルスによる免疫回避を逆手に取るという高度な免疫戦略を実証している。

