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遺伝学:ヒトのロバートソン染色体の形成と伝播
Nature 647, 8091 doi: 10.1038/s41586-025-09540-8
ロバートソン染色体は、自然界でよく見られる染色体バリアントの一種である。ヒトでは、ロバートソン染色体は800人に1人に存在し、不妊、トリソミー、がん発生率上昇の基盤となり得る。ロバートソン染色体は、1世紀以上にわたって細胞遺伝学的に認識されてきたが、その起源についてはまだ分かっていない。今回我々は、ヒトのロバートソン染色体3例の完全なアセンブリを報告する。ロバートソン転座が起こりやすい第13染色体、第14染色体、第21染色体に位置するマクロサテライトDNAであるSST1に、共通する切断点が特定された。SST1は、第14染色体で逆位になった、より大きな共有ホモロジードメインに含まれており、これによって、2本の染色体の長腕を融合させる減数分裂時の交差事象が可能になる。ロバートソン染色体には2つのセントロメアDNAアレイが存在し、リボソームDNAは全て喪失している。2例において、2つのセントロメアアレイのうち1つだけが活性を持つことが分かった。3例目では、両方のセントロメアアレイが活性を持ち得るが、近接しているために単一の外側の動原体に囲まれている場合が多かった。従って、セントロメアのアレイの近接性とエピジェネティックな変化の組み合わせが、ロバートソン染色体の安定した伝播を促進すると考えられる。チンパンジーとボノボのアセンブルゲノムを調べたところ、第14染色体の逆位はヒトゲノムに特有であることが明らかになった。ヒトのロバートソン染色体の構造およびエピジェネティックな特徴を分子レベルで解明することは、構造多様性と染色体進化の分子機構をより広く理解するための基礎となる。

