免疫学:タンパク質毒性ストレス応答はT細胞疲弊と免疫回避を駆動する
Nature 647, 8091 doi: 10.1038/s41586-025-09539-1
慢性感染症とがんは、疲弊として知られるT細胞機能不全を引き起こす。この細胞状態は、抗原への持続的曝露や最適とはいえない共刺激、それに加えて、防御免疫を低下させて免疫療法の効果を制限する多数の有害因子によって引き起こされる。T細胞疲弊の原因である機構は、依然としてほとんど明らかにされていない。今回我々は、慢性的なウイルス感染とがんの両方の状況下で、CD8+疲弊T(Tex)細胞のプロテオームを複数の疲弊状態にわたって解析した。その結果、エフェクターT(Teff)細胞とTex細胞の間で、mRNAとタンパク質の動態間に非確率論的な経路特異的不一致があることが分かった。また、Tex細胞において特有のタンパク質毒性ストレス応答(PSR)が見つかり、我々はこれをTex-PSRと命名した。タンパク質合成低下を誘発するカノニカルなストレス応答とは対照的に、Tex-PSRには全体的な翻訳活性の上昇と特殊化したシャペロンタンパク質の発現上昇が関与している。Tex-PSRでは、タンパク質凝集体とストレス顆粒の蓄積、それにオートファジーが活発なタンパク質異化の増加がさらなる特徴である。タンパク質恒常性を破綻させるだけで、Teff細胞をTex細胞へ変換できることが分かり、機構的にはTex-PSRは持続的なAKTシグナル伝達と結び付けられた。さらに、CD8+ T細胞中のTex-PSR関連シャペロンを破壊すると、前臨床モデルでがん免疫療法が改善された。また、がん患者由来のT細胞で見られる高いTex-PSRは、臨床での免疫療法に対する応答が不良だった。まとめると我々の知見は、Tex-PSRはT細胞疲弊の特徴であるとともに、機構的な駆動因子であることを示していて、がん免疫療法に対する手段としてタンパク質恒常性経路の標的化が持つ高い可能性を示唆している。

