Article
生態学:エルニーニョの増強は熱帯林の節足動物の多様性と機能を低下させる
Nature 645, 8082 doi: 10.1038/s41586-025-09351-x
節足動物の気候変動に対する脆弱性については議論が続いている。気候変動が節足動物群集に及ぼす長期的な影響は、短期的な気象パターンを通じて現れる可能性がある。熱帯域の節足動物は極めて多様で、多くの非常に重要な生態系機能に関与しているが、温帯地域の節足動物より比較的研究されていない。熱帯林の節足動物とそれらが提供する機能は、気候変動下で増強したエルニーニョ現象に対して脆弱である可能性がある。今回我々は、熱帯原生林のデータについて時系列解析を行い、節足動物の多様性と機能が長期的に低下していて、それらがエルニーニョの発生に結び付けられることを明らかにした。南北アメリカ大陸では、種の喪失はエルニーニョ感受性と相関しており、個体数の多い種は摂食形質と生態的特殊化のレベルに従って変動していた。東南アジアにおけるチョウ類の同時期の減少から、影響が複数の大陸にまたがっていたことが示唆される。節足動物の多様性の予測された変化は、無脊椎動物を介した分解および葉食の観察された速度と相関しており、熱帯域全体で分解は振動し、葉食は急減していた。我々の解析結果は、エルニーニョの増強が、熱帯林の節足動物とそれらが提供する生態系機能に対して直ちに脅威をもたらすことを示唆している。より広範な帰結はまだ不明だが、このような広範な変化は熱帯林の生態系を根本的に変える可能性がある。節足動物の多様性と森林機能を熱帯域全体で長期的にモニタリングすることは極めて重要であり、この新たな脅威の根底にある可能性のある機構についての研究も同様に重要である。

