Article
量子物理学:巨大量子渦から得られる自転する湾曲時空の特徴
Nature 628, 8006 doi: 10.1038/s41586-024-07176-8
重力シミュレーターは、音波や表面波などのわずかな励起が、湾曲時空の形状を伝播する場として振る舞う実験室系である。流体を重力の類似系と捉えるには粘性の消失が必要であり、この特徴は、液体ヘリウムなどの超流動体や低温原子雲で自然に実現される。こうした系は、湾曲時空における場の量子論の重要な予測の検証に成功している。特に、天体物理学でのブラックホールを表す自転する湾曲時空の量子シミュレーションでは、超流動体系における広範な渦の流れを実現する必要がある。今回我々は、多重量子化渦の固有の不安定性にもかかわらず、超流動体4He中で静止した巨大量子渦を安定化できることを実証する。この渦のコンパクトなコアには、マグノン、原子雲、ポラリトンなどの他の物理系における現在の限界を超えて、数千の循環量子が存在する。我々は、超流動体界面のマイクロメートルスケールの波と背景速度場の相互作用を利用することによって渦流を特性評価する、侵襲を最小にした方法を提示する。束縛状態の検出やブラックホールリングダウンに類似した独特な特徴を含む、複雑な波動–渦相互作用が観測された。今回の結果は、量子から古典への渦の移行を探求し、自転する湾曲空間に対する有限温度での量子場理論のシミュレーターとして超流動ヘリウムを用いる新たな道を開く。

