Article
神経回路:凹凸形状を符号化する海馬台ニューロン
Nature 627, 8005 doi: 10.1038/s41586-024-07139-z
自然界の動物は、幾何学的に複雑な景観に常に遭遇している。動物はそうした環境をうまくナビゲーションするために、景観の幾何学的特徴、すなわち、境界、目印、コーナー(隅)、曲線部分などの、総体として環境の形状を決めている個々の特徴を理解する必要がある。自然環境の形状の配置を再構築するには、コーナーや突起などの凹凸の特徴が極めて重要である。しかし、環境中の凹凸の知覚の根底にある可能性のある神経基盤は、まだ分かっていない。本論文で我々は、背側海馬台に、他者中心的な参照枠の環境形状全体にわたって、コーナーを符号化するニューロンがあることを示す。自由行動中のマウスで長期的なカルシウム画像化を行ったところ、コーナー細胞はそれらの活動を、コーナーの角度、壁の高さ、壁の交差の度合いなど、コーナーの幾何学的特徴を反映するよう、調整していることが分かった。また、海馬台ニューロンの別の一群は、より広い環境と個別の物体の両方の凸コーナーを符号化していた。これらのコーナー細胞は共に、環境の境界を符号化する海馬台ニューロンの集団とは重複していない。さらに、凹コーナーまたは凸コーナーを符号化する細胞は、それぞれ環境中の凹曲線部と凸曲線部にも応答するよう、それらの活動を汎化していた。総合すると今回の知見は、海馬台が、自然な空間環境の形状と配置を再構築するのに必要な幾何学的情報を含んでいることを示唆している。

