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神経科学:幼児期まで継続する側頭葉のニューロン動員
Nature 626, 8001 doi: 10.1038/s41586-023-06981-x
ヒト脳の側頭葉には嗅内皮質(EC)が含まれる。この脳領域は、感覚や空間の情報についての高度に相互結合した統合ハブであると同時に、エピソード記憶の形成で重要な役割を持ち、皮質から海馬への入力の主たる源でもある。ヒトのECは小児期にも発達を続けるが、ニューロンの新生とそれらのECに向けての移動は、出生までに完了すると一般的に考えられている。今回我々は、ヒト側頭葉には、出生後のECや周辺領域へと移動中の幼若ニューロンが多く含まれており、これらは約1歳まで大きな接線方向の流れを保ち、約2~3歳まで放射状の分散を続けることを示す。対照的に、アカゲザル(Macaca mulatta)では、同様な出生後の細胞移動は見られなかった。大脳基底核原基の胚帯、EC流路、生後ECに対して免疫染色と単一核RNA塩基配列解読を行ったところ、EC流路を移動中の多くの細胞が基底核原基の尾側に由来しており、LAMP5+RELN+抑制性介在ニューロンになることが明らかになった。これらの遅れて到着する介在ニューロンは、生後もしばらくの間(小児が環境と活発に相互作用している状況)にわたって、感覚情報や空間情報の処理を成形し続けている可能性がある。ECは、アルツハイマー病で最も早期に影響を受ける脳領域の1つであり、以前の研究では認知機能の低下はLAMP5+RELN+細胞の消失と関連付けられている。今回の研究は、これらの細胞の多くが、幼児期に主要移動経路を通ってECに到着することを明らかにしている。

