Article
微生物学:CRISPRエフェクターCam1による膜の脱分極を介したファージ防御
Nature 625, 7996 doi: 10.1038/s41586-023-06902-y
原核生物のIII型CRISPR–Cas系は、CRISPR関連ロスマンフォールド(CARF)タンパク質エフェクターを用いて、ウイルスやプラスミドに対する免疫を提供している。これらの侵入者の転写産物にCRISPRガイドRNAと相補的な塩基配列があることが認識されると、セカンドメッセンジャーとなるサイクリックオリゴアデニル酸の産生が引き起こされ、これがCARFドメインに結合して、エフェクタードメインの活性化を誘導する。ほとんどのエフェクターは宿主や侵入者の核酸を分解するが、一部のエフェクターは酵素機能のない膜貫通ヘリックスを持つと予測されている。このようなCARF–膜貫通ヘリックス融合タンパク質がIII型CRISPR–Cas免疫応答を促進するのかどうか、するとすればどのように促進するかについてはまだ分かっていない。今回我々は、Cam1(cyclic oligoadenylate-activated membrane protein 1)が、III型CRISPR免疫に果たす役割を調べた。構造解析と生化学的解析により、Cam1二量体のCARFドメインがセカンドメッセンジャーであるサイクリックテトラアデニル酸に結合することが判明した。Cam1はin vivoで膜に局在し、四量体の膜貫通孔を形成すると予測され、膜の脱分極と増殖停止を誘発することによって、ウイルス感染に対する防御作用を示す。これらの結果から、CRISPR免疫は必ずしも核酸の分解によって作用するとは限らず、より広範な細胞応答を介して働くことが明らかになった。

