Article
がん:肺がんにおけるミトコンドリアのネットワークとエネルギー産生の空間マッピング
Nature 615, 7953 doi: 10.1038/s41586-023-05793-3
ミトコンドリアは、がん細胞における代謝とエネルギー産生の管理に極めて重要である。ミトコンドリアは高度に組織化されたネットワークを形成しており、これらのネットワーク内でミトコンドリアの内膜と外膜の構造がエネルギー産生能を規定している。しかし、ミトコンドリアネットワーク構造の組織化と、そのエネルギー産生活性の関係をin vivoで調べた研究はわずかしかない。今回我々は、陽電子放射断層撮影画像化、呼吸測定、三次元ブロックフェイス走査型電子顕微鏡法からなる統合プラットフォームを用いて行った、非小細胞肺がん(NSCLC)におけるミトコンドリアネットワークとエネルギー産生表現型に関する構造と機能のin vivo解析について報告する。我々がNSCLC腫瘍で見つけた多様なエネルギー産生表現型と代謝依存性は、腫瘍に見られるミトコンドリアネットワークの独特な構造的組織化と一致していた。さらに、ミトコンドリアネットワークは腫瘍細胞内で異なる区画に組織化されることも分かった。酸化的リン酸化の速度が速く(OXPHOSHI)脂肪酸酸化の速度も速い腫瘍では、ミトコンドリアが脂肪滴に接して取り囲んだ脂肪滴周囲ミトコンドリアネットワークが見つかった。対照的に、OXPHOSの速度が遅い(OXPHOSLO)腫瘍では、速いグルコースフラックスが、ミトコンドリアの核周辺局在やクリステの構造リモデリング、ミトコンドリア呼吸を調節していることが分かった。我々の知見は、NSCLCではミトコンドリアネットワークが異なる亜集団に区画化され、それらが腫瘍のエネルギー産生能を管理することを示唆している。

