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行動神経科学:物体の位置を行動に変換するシナプス勾配
Nature 613, 7944 doi: 10.1038/s41586-022-05562-8
動物は、その生存のため、感覚情報を適切な行動に変換しなくてはならない。視覚は、行動に関連した刺激の位置を特定し、運動応答を導くのに広く使われている感覚である。しかし神経回路が、どのようにして網膜座標上の物体の位置を身体座標上の運動方向に変換するのかは、よく分かっていない。今回我々は、ショウジョウバエ(Drosophila)の行動・生理・解剖・コネクトームの解析を通して、視覚–運動変換が、特徴検出を担う視覚投射ニューロン(VPN)の樹状突起が作る空間マップを、脳の中枢ニューロンに掛かるVPN出力のシナプス荷重の勾配に変換することで行われていることを明らかにする。この勾配モチーフが、接近する視覚刺激の前後位置をどのようにハエの逃避方向に変換しているかが示された。具体的には、接近に応答するVPNタイプのシナプス後細胞に当たる2個のニューロンが、互いに反対方向への発進を促していた。異なる視野領域の接近応答VPNからこれらのニューロンへの相反的なシナプス荷重勾配が、特定された接近する脅威を正しい方向への逃避に変換するのである。第二の接近応答VPNタイプは、背腹軸に沿った勾配応答を示すものだった。こうしたシナプス勾配モチーフは、20個の一次VPN細胞タイプの全てを通して見られたが、多くの場合VPNの軸索に地理的特徴はなかった。従って、シナプス勾配は、感覚情報の空間特徴を、方向性のある運動出力に伝える一般的な機構である可能性がある。

