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気候変動生態学:北方針葉樹の分布域の急速な拡大に十分な条件
Nature 608, 7923 doi: 10.1038/s41586-022-05093-2
現在の前例のない温暖化速度は、北方林を北極圏ツンドラに前進させることで、アルベドの減少、炭素循環の変化、さらなる気候変動を引き起こすと予想されているが、このバイオームシフトのパターンや過程は明らかになっていない。気候の温暖化は、これまでの北方林の前進には必要であったが、森林–ツンドラエコトーンを形成する針葉樹の現在の生息域拡大には温暖化だけでは十分ではない。針葉樹の高緯度個体群である北米北極圏高木限界の優占タクソンが、最終氷期極大期(LGM)後の速度で前進しているという記録はまだない。今回我々は、シロトウヒ(Picea glauca)の個体群が、確立された高木限界から離れた北極圏の盆地にわたってLGM後の速度で前進していることを報告するとともに、この前進を維持する機構の証拠を示す。この個体群は10年ごとに倍増し、個々の高木の主幹の指数関数的な肥大成長は7月の気温と正の相関があった。また成木の側枝と大きな幼齢木のターミナルリーダー(主軸の成長点)は、確立されている高木限界でのそうした部分のほぼ2倍の速度で成長していた。我々は、気温の閾値を超えることが、冬の風による長距離分散の促進、より深い積雪と土壌栄養素の可給性上昇による加入や成長の促進と相まって、北方林の前進に十分な条件をもたらすと結論する。これらの観察結果によって、ツンドラを森林に変える環境条件についての重要な手掛かりが得られ、予測モデル化が可能になる。

