ゲノミクス:ありふれた炎症性疾患の遺伝的リスクの原因となるRNA編集
Nature 608, 7923 doi: 10.1038/s41586-022-05052-x
ヒトの遺伝学における主要な課題は、形質や疾患に関連するバリアントの分子機構を特定することである。これを達成するために、遺伝子発現やスプライシングなどの中間的な分子表現型を持つ遺伝的バリアントの量的形質座位(QTL)マッピングが広く採用されている。しかし、この方法はうまくいっているにもかかわらず、形質や疾患に関連するバリアントのかなりの割合の分子基盤は明らかになっていない。今回我々は、ADARを介するアデノシンからイノシンへのRNA編集[細胞の二本鎖RNA(dsRNA)を介した自然免疫インターフェロン応答の抑制に不可欠な転写後事象]が、ありふれた炎症性疾患に関連する遺伝的バリアントの原因となる重要な機構候補であることを示す。我々は、49のヒト組織において3万319のシスRNA編集QTL(edQTL)を特定し、それらの特徴を明らかにした。これらのedQTLは、自己免疫疾患や免疫介在性疾患のゲノム規模関連解析に見られるシグナルに顕著に多く含まれていた。edQTLと疾患リスク座位の共局在解析から、免疫原性を持つと推定される重要なdsRNAがさらに特定された。これらのdsRNAは、予想されていた逆方向反復配列Aluエレメントに加え、予想外の非常に多く見られるシス天然アンチセンス転写産物によって形成されていた。その上、炎症性疾患のリスクバリアントは、全体として、近傍のdsRNAの編集減少および炎症性疾患におけるインターフェロン応答の誘導と関連していた。この方向性を持つ独特な効果は、ADAR1によるRNA編集が起こらないとdsRNAセンサーMDA5の特異的活性化およびその後のインターフェロン応答や炎症につながるという確立された機構と一致している。我々の知見は、細胞のdsRNAの編集や感知が、ありふれた炎症性疾患のこれまで正しく評価されていなかった機構に関係していることを示している。

