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神経科学:マウスの階層的な視覚回路網の発達で採られるモジュール戦略

Nature 608, 7923 doi: 10.1038/s41586-022-05045-w

階層的かつ並列的な神経回路網は、哺乳類の脳の基本的構造である。視覚系の低次/高次の視床核や多くの大脳皮質領野では、その発達中に領野間結合が形成され、階層的な背側経路と腹側経路が構築される。視覚回路網の結合の発達に関する1つの仮説では、神経結合は低次領野から高次領野へ、その階層構造に沿って逐次形成されていくという逐次戦略が考えられる。しかし、この逐次戦略では、多数の領野間結合から成る視覚回路網の全てを構築するには効率的ではないと思われる。今回の研究で、マウスの網膜から発し、低次および高次の視床核を経由して一次視覚皮質(V1)や背側/腹側の高次視覚野に至る神経経路が、大脳皮質の領野間結合の形成より前に、並列モジュールとして形成されることが分かった。それに続いて、これらのモジュールを横につなぐ形で、V1や高次視覚野をつなぐ大脳皮質領野間結合が形成されることが分かった。また、網膜由来の活動が初期の並列モジュールを伝播することが、網膜部位対応的なモジュール間結合を構築するのに必要であった。従って、視覚回路網は、初期の並列モジュールの形成とそれに引き続くモジュールの連結というモジュール方式で発達することが分かった。本研究での知見から、高次視床核から高次視覚野への並列モジュールが、大脳皮質の腹側経路・背側経路形成のテンプレートとして働いている可能性が考えられ、脳は多くの領野からなる階層的な回路網を発達させる上で効率的な戦略を採っていることが示唆される。

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