Article
古海洋学:顕生代の海洋酸素化を制御する大陸の配置
Nature 608, 7923 doi: 10.1038/s41586-022-05018-z
海洋動物の初期進化と大半の絶滅の歴史は、海洋の溶存酸素濃度([O2])の変化によって駆動されたと考えられている。そして、[O2]は、大気中酸素(pO2)の地質学的歴史によって支配されていると広く考えられている。これに対して、今回我々は、一連の地球システムモデル実験を用いて、顕生代における大陸の再配置がどのようにして海洋酸素化の大きな変動を駆動し、やがて海洋上層と底部の[O2]の間に基本的な分離を生じさせたかを示す。さらに我々は、顕生代初期に現在のpO2下でも生じる広範な深海無酸素状態をもたらした、全球海洋循環の状態遷移の存在を明らかにする。海洋酸素化が、安定した数千年(kyr)周期で振動しているという今回の知見から、古生代初期において後生動物の放散と絶滅の速度が上昇したことを説明する可能性のある原因機構も得られた。今回のモデル化において、全球の気候と海洋の換水の間に単純な相関関係が存在せず、大気中のpO2とは独立して海洋酸素化の大きな変動が起きていることは、海洋の酸化還元状態の代理指標の解釈に疑問を投げ掛けているが、生物圏の進化におけるこれまで認識されていなかった大陸配置の役割も示している。

