分子生物学:GTSF1はPIWIクレードのArgonauteタンパク質による標的RNA切断を促進する
Nature 608, 7923 doi: 10.1038/s41586-022-05009-0
Argonauteタンパク質は、核酸をガイド役として使ってDNAやRNAの特異的な標的配列を見つけて結合する。Argonauteタンパク質は多様な生物学的機能を持ち、その多くは祖先であるエンドリボヌクレアーゼの活性を保持していて、標的ヌクレオチドの10塩基目と11塩基目の間のホスホジエステル結合を切断する。動物では、PIWIタンパク質(特殊な種類のArgonauteタンパク質)が長さ21–35ヌクレオチドのPIWI-interacting RNA(piRNA)を使ってトランスポゾンをサイレンシングし、生殖系列のゲノムを保護し、配偶子形成の際に遺伝子発現を調節する。ほとんど全ての動物は、生殖能力を持つために、一方の性、あるいは両方の性のpiRNA経路を必要とする。そしてpiRNAの産生と機能のどちらにも、PIWIタンパク質が触媒するRNA切断が必要である。マウスや他の有胎盤哺乳類の精子形成には、発生段階で制御される3種類の異なるPIWIタンパク質、MIWI(PIWIL1)、MILI(PIWIL2)、MIWI2(PIWIL4)が必要である。機能的な精子の産生には、piRNAが誘導するMIWIとMILIのエンドリボヌクレアーゼ活性が不可欠である。マウスと昆虫において、piRNAが誘導するサイレンシングにはPIWI結合タンパク質であるGTSF1も必要だが、このタンパク質の機能は不明である。今回我々は、PIWIタンパク質が本来持っているpiRNA誘導性の弱いRNA切断活性をGTSF1が強化し、PIWIタンパク質を効率の良いエンドリボヌクレアーゼに変化させることを明らかにした。つまりGTSF1は、Argonauteタンパク質の触媒活性を促進する補助タンパク質の一例と言える。

