Article

植物科学:温暖化する気候に対する植物免疫の復元力を高める

Nature 607, 7918 doi: 10.1038/s41586-022-04902-y

気候変動に伴う極端な気象条件は、感染症への応答を含め、植物や動物の生活のさまざまな局面に影響を及ぼす。植物の重要な防御ホルモンであるサリチル酸(SA)の産生は、植物の正常な生育温度範囲を超えた短期間の高温による抑制に特に脆弱であるが、その機構は分かっていない。今回我々は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において28°Cで見られるSA産生の抑制は、気温に応じて植物の成長と発達を調節するPHYTOCHROME B(phyB)やEARLY FLOWERING 3(ELF3)と無関係であることを示す。ただし、生育温度が高くなると、GUANYLATE BINDING PROTEIN-LIKE 3 (GBPL3) defence-activated biomolecular condensates(GDAC)の形成が減少することが分かった。in vivoでのGDAC形成の変化は、GBPL3やSA関連Mediatorサブユニットが、免疫のマスター転写因子をコードするCBP60gSARD1のプロモーターへとうまく動員されないことと関連している。SA受容体やSA生合成遺伝子をはじめとする他の多くのSAシグナル伝達構成要素とは違って、CBP60g発現の最適化は、生育温度が上昇した場合でもSAの産生、基礎免疫、エフェクター誘導免疫を幅広く回復させるのに十分であり、成長に著しいトレードオフは見られなかった。CBP60gファミリーの転写因子は植物で幅広く保存されている。これらの結果は、植物の免疫系の保護に意味を持つとともに、植物–病原体–環境という疾患の三角形の概念や、温暖化する気候において起こる新たな疾患のエピデミック発生について理解する上でも重要である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度