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構造生物学:CRISPR–Cas9によるミスマッチ監視の構造基盤
Nature 603, 7900 doi: 10.1038/s41586-022-04470-1
CRISPR–Cas9をプログラム可能なゲノム編集手段として使う際に妨げとなるのは、狙っていない部位での(オフターゲット)DNA切断で、その基盤となるCas9がミスマッチを認識する機構はほとんど解明されていない。ミスマッチを識別する能力が高いCas9変異体が設計されているが、こういった変異体では、目的とする(オンターゲット)DNA切断の速度が大きく低下するという難点がある。今回我々は、酵素の反応速度論的性質を利用してクライオ電子顕微鏡法観察を行い、ミスマッチ切断反応のさまざまな段階におけるCas9の構造を決定した。ミスマッチが存在すると、独特な線状のコンホメーションを持つガイドRNA–DNA二本鎖が形成され、これがCas9の活性化を妨げることが観察された。カノニカルなコンホメーションであるねじれたガイドRNA–DNA二本鎖はDNA切断を促進するが、プロトスペーサー隣接モチーフから離れた所にミスマッチを含む基質は、RuvCドメイン中の1個のループが再編成されると安定化されることが分かった。ミスマッチを安定化する残基に変異を生じさせると、オフターゲットDNA切断が減少するが、迅速なオンターゲットDNA切断は維持された。我々は、ミスマッチ許容性だけに関わる領域を標的とすることにより、忠実度の高い次世代改良型Cas9の設計につながる概念実証を行うことができた。

