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がん:サイレント変異から明らかになったRAS Q61がんの治療的脆弱性

Nature 603, 7900 doi: 10.1038/s41586-022-04451-4

RASファミリーのメンバーは、ヒトのがんで最も多く変異の見られる発がん遺伝子である。KRAS(G12C)特異的阻害剤は、がん患者で臨床効果を示すが、NRASやHRAS、非G12C KRAS変異に対する直接的な阻害剤はない。今回我々は、細胞が機能的なKRAS(Q61K)を産生するためには、KRASG60Gサイレント変異が必要であることを明らかにした。KRASQ61KにこのG60G変異がない場合、隠れスプライスドナー部位が形成され、選択的スプライシングの促進によってタンパク質合成が未成熟なまま終結する。G60Gサイレント変異は、このスプライスドナー部位を無効にして、機能的なKRAS(Q61K)変異タンパク質を産生させる。3つの独立したがん種横断的コホートで、KRASQ61KとG60G/A59Aサイレント変異は同時に検出された。RAS Q61周囲の領域には、ESE(exonic splicing enhancer)モチーフが多く見られることから、我々は変異特異的オリゴヌクレオチドを設計し、ESEを介したスプライシングに干渉して、変異選択的な様式でRAS(Q61)タンパク質が機能しないようにした。アンチセンスオリゴヌクレオチドによる異常スプライシングの誘導は、in vitroとin vivoで治療効果を示した。我々は、機能的なKRAS(Q61K)に必要なスプライシングを調べることで、RASQ61がんに対する変異選択的な治療戦略を示し、また、他の遺伝的状況での治療にも応用できる可能性のある変異特異的脆弱性を見いだした。

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