Article

機械学習:ディープニューラルネットワークを用いた古代テキストの復元と特定

Nature 603, 7900 doi: 10.1038/s41586-022-04448-z

古代史は、過去の文明の思考、言語、社会、歴史に関する証拠を、碑文(金石文)として知られる印刻された文字を研究する碑文学(金石学)などの学問分野に依存している。しかし、数世紀を経て、多くの碑文は損傷を受けて判読が難しくなっており、本来の場所から離れた所に運ばれていて、それらの文字が記された年代も不確かである。本論文では、古代ギリシャの碑文に関してテキストの復元および地理的起源と年代の特定を行う、ディープニューラルネットワーク「イサカ(Ithaca)」について報告する。イサカは、歴史学者のワークフローを支援・拡張するよう設計されており、そのアーキテクチャーは、共同研究、意思決定支援、解釈可能性に重点を置いている。損傷を受けたテキストの復元における正確さは、イサカ単独で62%に達し、歴史学者がイサカを使用すると25%から72%に向上した。これは、この研究ツールの相乗効果を裏付けている。イサカは、碑文の地理的起源を71%の正確さで、また、その年代を真値(ground-truth)の範囲から30年以内に特定することができ、アテナイの主要なテキストの年代を見直すとともに、古代史において現在交わされている議論にも貢献した。本研究は、イサカのようなモデルがいかにして、人工知能と歴史学者の共同作業の可能性を解き放ち得るかを示しており、これは、人類史の極めて重要な時期に関する我々の研究法および著述法を一変させるほどの影響をもたらす。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度