医学研究:多発性硬化症においてクローン増殖したB細胞はEBVのEBNA1とGlialCAMに結合する
Nature 603, 7900 doi: 10.1038/s41586-022-04432-7
多発性硬化症(MS)は不均一な自己免疫疾患で、自己反応性リンパ球による中枢神経系のミエリン鞘への攻撃が見られる。MS患者の脳脊髄液(CSF)中のBリンパ球は、炎症に関与し、オリゴクローナルな免疫グロブリンを分泌する。エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染は、疫学的にMSと結び付けられてきたが、その病理的役割は分かっていない。今回我々は、EBVの転写因子であるEBNA1(EBV nuclear antigen 1)と中枢神経系タンパク質であるグリア細胞接着分子(GlialCAM)の間に高親和性分子模倣が見られることを実証し、その関連性を示す構造的証拠およびin vivoでの機能的証拠を提示する。まず、MSの血液とCSFにおいてB細胞受容体の対になる鎖のレパートリーについての単一細胞塩基配列解読を行った後に、組換えにより発現させたCSF由来抗体とMS関連ウイルスとの反応をタンパク質マイクロアレイベースで調べることで、CSF由来の交差反応性抗体が特定された。配列の解析、親和性測定、自己反応性Fab断片と複合体を形成したEBNA1–ペプチドエピトープの結晶構造により、EBNA1限定的なナイーブ抗体から、EBNA1とGlialCAMに交差反応する成熟抗体への発達を追跡することができた。分子模倣は、GlialCAMの翻訳後修飾によって促進される。MSマウスモデルではEBNA1による免疫感作によって疾患が増悪し、また、MS患者では抗EBNA1抗体と抗GlialCAM抗体がよく見られた。我々の結果は、MSとEBVの間の関連性に対する機構的な結び付きを提供するものであり、MSの新しい治療法の開発につながる可能性がある。

