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化学:単純な有機塩の自己集合によって生じる複雑な構造
Nature 590, 7845 doi: 10.1038/s41586-021-03194-y
分子の自己集合は、単純な分子が自発的に会合してより大きな秩序構造を形成することである。こうした自己集合は、コロイド、結晶、タンパク質、ウイルス、二重らせんDNAの形成など、いくつかの自然過程の基礎となっている。分子の自己集合は、特定の化学的特性や物理的特性を持つ材料を合理的に設計するための戦略をいくつももたらしており、超分子化学における最も重要な概念の1つとなっている。分子の自己集合は広く研究されてきたが、この現象を支配する法則を理解することはいまだに困難である。今回我々は、4つの異なる構造として結晶化する単純なファムプリジン塩酸塩について報告する。4つの構造のうち2つは、塩化物イオンとピリジニウムイオンの多面体クラスターからなる珍しい自己集合構造をとる。これら2つの構造は、剛直な有機小分子のフランク–カスパー(FK)相である。FK相は、60年以上前に金属合金において発見されたが、最近、数種の超分子ソフトマターや金ナノ結晶超格子でも観察されており、まだ新たな発見の対象となっている。これらの系では、原子や、分子の球状集合体が充填されて、配位数12、14、15、16の多面体を形成している。今回報告した2つのFK構造は、高密度液相から結晶化したもので、剛直有機小分子では通常観察されない複雑さを示す。前駆高密度液相をクライオ電子顕微鏡法で調べたところ、1.5~4.6 nmのサイズの球状凝集体の存在が明らかになった。これらの構造は、その合成に用いた実験手順と合わせて、その形成についての興味深い推論を招くとともに、有機結晶材料の設計に向けてさまざまな展望を開くものである。

