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物性物理学:多層菱面体晶グラファイトにおける電子相分離

Nature 584, 7820 doi: 10.1038/s41586-020-2568-2

グラファイトの安定な結晶構造には六方晶と菱面体晶の2種類があるが、より一般的で幅広く研究されているのは六方晶である。菱面体晶については、相互作用に誘起されるエキゾチックな物理の豊かさに関して多くの理論予測がなされているにもかかわらず、六方晶よりも安定性が低いためにこれまでその詳細な研究が妨げられてきた。ファンデルワールス・ヘテロ構造技術の進歩によって、現在では最大50グラフェン層の厚さまでの高品質菱面体晶グラファイト膜を作製し、その輸送特性を研究できるようになっている。今回我々は、そうした菱面体晶グラファイトのバルク電子状態にはギャップが存在し、低温では電子輸送が表面状態に支配されていることを示す。こうした表面状態はトポロジカルな性質を有すると提案されており、この性質のために表面状態の品質は量子ホール効果を観測するのに十分なほど高く、これによって菱面体晶グラファイトは、ギャップレス半金属相と、巨大なベリー曲率を伴いギャップを持つ量子スピンホール相との間で相転移を示す。表面状態のエネルギーギャップは、垂直電場をかけて表面状態の反転対称性を破ることによっても開くことが見いだされた。さらに、4 nmより薄い菱面体晶グラファイトでは、外部電場がなくてもギャップが存在することが明らかになった。この自発的なギャップ形成は、電子相分離に特有な著しいヒステリシスなどの特徴を示しており、我々はこれらの原因が、強く相関した電子表面状態の出現にあると考える。

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