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化学生物学:細胞外タンパク質を分解するためのリソソーム分解誘導キメラ

Nature 584, 7820 doi: 10.1038/s41586-020-2545-9

個々のタンパク質を標的とする治療法の大半は、酵素の阻害やリガンドの結合遮断のような、標的タンパク質の活性を変化させる特異的相互作用に頼っている。しかし、治療に関わりのあるタンパク質の主要なクラスのうちの複数は、活性プロファイルが知られていなかったり、利用できなかったりするために、このような方法の標的にできない。このような、標的化するのが一般的に難しいタンパク質に対して開発されてきたのが、タンパク質分解誘導キメラタンパク質(PROTAC)のようなタンパク質分解プラットフォーム(例えば、dTAG、Trim-Away、シャペロンを介するオートファジー誘導、SNIPERなど)である。しかし、これらの方法には細胞内のタンパク質分解装置の操作が含まれているので、使えるのは基本的に、リガンドが結合して必要な細胞成分を動員できるような細胞質ドメインを持つタンパク質に限られる。しかし、タンパク質をコードする全遺伝子の40%の産物は、細胞外タンパク質や膜結合タンパク質であって、これらはがん、加齢に伴う疾患、自己免疫疾患に重要な役割を担っている。そのため、このようなタンパク質を選択的に分解するための広く使える戦略は、ヒトの健康の改善に役立つ可能性がある。今回我々は、細胞表面とリソソームの間のシャトル輸送に関わる受容体と標的タンパク質の細胞外ドメインの両方に結合するコンジュゲートの使用により、細胞外タンパク質や膜結合タンパク質を標的として分解する方法を確立した。これらの初めて作製されたリソソーム分解誘導キメラ(LYTACと命名)は、カチオン非依存性マンノース6-リン酸受容体(CI-M6PR)のアゴニストである化学合成糖ペプチドリガンドに小型分子もしくは抗体を融合させたものである。我々はLYTACを使って、複数の細胞系列でのCI-M6PRを介した積み荷のインターナリゼーションに関わる生化学経路を明らかにするためのCRISPR干渉スクリーニング法を開発し、エクソシスト複合体がこの経路に不可欠だが、これまで正体不明だった成分であることを明らかにした。また、アポリポタンパク質E4、上皮増殖因子受容体(EGFR)、CD71、PD-L1(programmed death-ligand 1)などの治療に関わりを持つタンパク質の分解を行うことにより、このプラットフォームが幅広く適用できることを実証した。今回の結果によって、分泌タンパク質や膜タンパク質をリソソームでの分解に導くモジュール式の戦略が確立された。これは、生化学研究や疾患の治療に幅広く関わってくるだろう。

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