Article

遺伝学:生物種を超えた定量的マップ法により明らかになった、動的なRNAアセチル化

Nature 583, 7817 doi: 10.1038/s41586-020-2418-2

N4-アセチルシチジン(ac4C)は古くから知られている高度に保存されたRNA修飾の一種で、tRNAやrRNAに存在し、さらに最近では真核生物のmRNAでも詳しく調べられている。しかし、シチジンアセチル化の分布、動態、機能はいまだ完全には解明されていない。今回我々は、ac4Cを1塩基レベルで識別してトランスクリプトーム全体で定量的にマッピングできる、ac4C-seqという化学的ゲノム解析手法を開発した。ヒトと酵母のmRNAでは、ac4C部位は検出されなかったが、真核生物のアセチルトランスフェラーゼ複合体を異所性に過剰発現させると、保存された配列モチーフの位置にac4Cを導入できることが分かった。これとは対照的に、進化系統を超えた生物種のac4Cプロファイリングによって、超好熱アーキアのrRNA、tRNA、ノンコーディングRNA、mRNAには、何百というこれまでに例のないほど数多くのac4Cが存在することが分かった。ac4Cは、アーキアの生育温度の上昇に応じて著しく増加した。またアセチルトランスフェラーゼを持たないアーキア株では、培養温度の上昇に依存して生育阻害が起こった。クライオ電子顕微鏡によって明らかになった野生型アーキアとアセチルトランスフェラーゼ欠失アーキアのリボソームの構造から、生育温度に依存したac4Cの分布とac4Cが生育温度に適応するための役割を担っている可能性についての構造的知見が得られた。ac4Cの存在状況を定量的に明らかにした今回の研究によって、生命活動やヒトの疾患におけるシチジンアセチル化の役割を解明するための技術的、概念的な基盤を得ることができた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度