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神経科学:腸内細菌により産生された神経伝達物質が宿主の感覚行動を調節する

Nature 583, 7816 doi: 10.1038/s41586-020-2395-5

動物は、微生物をはじめとする多様な生物の複雑な群集と共存しており、それらとは片利共生、病原性、相利共生の関係にある。細菌の中には生物活性を持つ神経伝達物質を産生するものもあり、これらの物質は宿主の神経系活動や行動を調節すると以前から提唱されてきた。しかし、微生物相と脳の間のこのシグナル伝達の機構的基盤やその生理学的関連性については、ほとんど分かっていない。今回我々は、線虫の一種のCaenorhabditis elegansにおいて、腸に定着しているプロビデンシア属(Providencia)の片利共生細菌によって産生される神経修飾物質のチラミンが、宿主におけるチラミン生合成を必要とせずに、宿主の感覚決定を操作することを示す。細菌の産生したチラミンは、宿主の酵素チラミンβ-ヒドロキシラーゼによってオクトパミンに変換されると考えられる。オクトパミンはその後、ASH侵害受容ニューロン上のオクトパミン受容体OCTR-1を標的とし、嗅覚忌避応答を調節する。我々は、プロビデンシア属細菌のチラミン生合成に必要とされる遺伝子群を特定し、これらの遺伝子が宿主の行動の調節に必須であることを示す。さらに、プロビデンシア属細菌が定着しているC. elegansは、食餌選択アッセイにおいてこれらの細菌を優先的に選択し、この選択偏向性には細菌により産生されたチラミンと宿主のオクトパミンシグナル伝達が必要であることが分かった。我々の結果は、腸内細菌が産生する神経伝達物質が、宿主のコグネイト分子の機能を模倣して、感覚決定に対する宿主の制御を無効にし、その結果、宿主と微生物両者の適応度を高めることを実証している。

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