古生物学:南極で発見された後期白亜紀の巨大な軟らかい殻の卵
Nature 583, 7816 doi: 10.1038/s41586-020-2377-7
卵のサイズおよび構造は、脊椎動物の生殖や生活史の特徴に対する重要な制約を反映している。現生の全羊膜類の3分の2以上が卵生である。中生代(約2億5000万〜約6500万年前)において体サイズは極限に達したにもかかわらず、既知で最大の卵はごく最近絶滅したエピオルニス(Aepyornis)のもので、その年代は最後の非鳥類型恐竜および巨大な海生爬虫類より約6600万年新しい。本論文では、南極の後期白亜紀(約6800万年前)の沿岸海洋堆積物から発見された、新たな種類の卵について報告する。この卵は、既知の全ての非鳥類型恐竜の卵より体積が大きく、構造も異なる。エピオルニスの卵はこれに比べてサイズがわずかに大きいが、殻の厚さは約5倍あり、厚い角柱層および複雑な細孔構造が認められる。これに対し、今回発見された卵化石は明らかにつぶれて折れ曲がっており、薄い卵殻には角柱層と明瞭な細孔を欠く層構造が認められ、現生のトカゲ類およびヘビ類(鱗竜類)の大半で見られる卵に類似している。この卵を産んだ動物の正体は不明だが、保存されている形態的特徴は、付近で発見されているモササウルス類(大型の海生鱗竜類)の骨格遺物の特徴と一致する。一方、これらの特徴は、サイズが同程度の恐竜の卵で報告されている形態的特徴とは一致しない。現生の鱗竜類259種と外群の形質に関する系統発生学的解析により、今回の卵を産んだのは全長が少なくとも7 mある個体だったと示唆され、この個体は、これまで全てのクレードが胎生だと考えられてきた巨大海生爬虫類と仮定された。比較的薄い卵殻を有するこうした大型の卵は、体形に関連した派生的制約、巨大化と関連する生殖投資、そして鱗竜類の胎生(「痕跡的な」卵が直ちに孵化する)を反映するものであると考えられる。

