光物理学:光から作られるラフリン状態の観測
Nature 582, 7810 doi: 10.1038/s41586-020-2318-5
自然界の豊かさの大半は、単純な構成要素が限りなく多様な秩序状態を形成するために生じる。そうした秩序状態の多くは、対称性によって完全に特徴付けられるが、相互作用する量子系はトポロジカル秩序を示す可能性があり、対称性ではなくエンタングルメントの複雑なパターンによって特徴付けられる。ラフリン状態はトポロジカル秩序の典型的な例であり、磁場中の荷電粒子の相互作用エネルギーを最低にするとともに、分数量子ホール効果の基礎となっている。極低温原子や光子の合成系でラフリン状態を形成することによって、トポロジカル秩序に関する理解を深める取り組みがなされてきたが、そうしたトポロジカル状態が明確に観測されている系は、いまだに電子ガスだけである。今回我々は、強く相互作用する最低ランダウ準位のポラリトンガスを光子コライダーとして使って、ラフリン秩序化した光子対を生成した。最初は相関のなかった光子が共振器に入ると、原子のリュードベリ励起と混成して、ポラリトンを形成する。ポラリトンは準粒子であり、ここでは、ねじれた共振器のフロケエンジニアリングと、ポラリトン間のリュードベリ媒介相互作用によって生成される合成磁場のために、最低ランダウ準位にある電子のように振る舞う。ポラリトンの対は衝突して自己組織化し、角運動量を保存しながら互いに避け合う。今回の有限寿命のポラリトンは、そうした組織化をわずかしか選択しない。そのため我々は、フロケポラリトンに特有な調整可能性を利用して、光子の高忠実度ラフリン状態を共振器の外側で抽出した。粒子分解測定の結果から、こうした光子は互いに避け合い、ラフリン物理学の特徴である角運動量相関を示すことが明らかになった。今回の研究によって、トポロジカル量子光を研究する幅広い可能性が得られる。

