古生物学:ヨーロッパの後期白亜紀の新鳥亜綱の鳥類化石から明らかになったクラウン群鳥類の起源
Nature 579, 7799 doi: 10.1038/s41586-020-2096-0
クラウン群鳥類の進化の最初期に関する我々の理解は、中生代の鳥類の化石記録が極めて少ないことから進んでいない。クラウン群鳥類の最も古い系統分岐は白亜紀に起きたことが知られているが、クラウン群鳥類の最も古く分岐したサブクレードである古顎類(ダチョウとその仲間)、キジカモ上目(キジ類およびカモ類)、ならびに新鳥上目(それ以外の全ての現生鳥類)を代表する中生代のステム系統は見つかっていない。そのため、祖先的なクラウン群鳥類の生態、生物地理学、分岐年代に関する重要な疑問についてはまだ答えが得られていない。本論文では、キジカモ上目の最終共通祖先の付近に位置付けられ、クラウン群鳥類の進化史の初期において重要な系統的空白を埋める、新たな中生代化石について報告する。ベルギーで発見されたマーストリヒチアン期の新属新種Asteriornis maastrichtensis(化石の年代は6680万~6670万年前)は、三次元的に保存されたほぼ完全な頭蓋および付随する頭蓋後方の要素からなる。この化石は、中生代のクラウン群鳥類であると十分に裏付けられている数少ないものの1つであり、優れた頭蓋化石を有するものとしては初めての中生代クラウン群鳥類である。A. maastrichtensisには、キジ類様の特徴とカモ類様の特徴を併せ持つこれまで報告されたことのない特徴が見られ、以前報告された同地域のイクチオルニス様のタクソンとほぼ同時期に存在したことは、クラウン群鳥類と鳥群ステム鳥類とが共存していたことを示す直接的な証拠となる。北半球におけるその存在は、クラウン群鳥類の起源がゴンドワナ大陸にあるとする生物地理学的な仮説に疑義を唱えるもので、その比較的小さなサイズと沿岸生態環境に生息していた可能性は、クラウン群鳥類が白亜紀末の大量絶滅を生き延びるのに影響を与えたとする生態学的フィルター説を裏付けているのかもしれない。

