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物性物理学:WSe2/WS2モアレ超格子におけるハバードモデルの物理のシミュレーション

Nature 579, 7799 doi: 10.1038/s41586-020-2085-3

1960年代に物理学者ジョン・ハバードによって定式化されたハバードモデルは、格子中で相互作用する量子粒子の単純な理論モデルである。このモデルは、高温超伝導体や磁性絶縁体などの複雑な量子多体系の基底状態の本質的な物理を捉えていると考えられている。ハバードモデルは、現実の物質の大半を非常に単純化して表現するにもかかわらず、一次元の場合を除いて、正確に解くことは難しい。従って、二次元または三次元においてハバードモデルを物理的に実現するものは、アナログ量子シミュレーターとして機能する(つまりハバードモデルを模擬してその相図やダイナミクスをシミュレートする)ことができ、強相関問題を解く、すなわち多数の強相互作用量子粒子の物理を明らかにする上で重要な役割を果たす。今回我々は、角度を調整したWSe2/WS2 2層膜を研究することによって、二次元三角格子ハバードモデルの相図を得た。この2層膜は、WSe2とWS2の格子定数が異なるためにモアレ超格子を形成する。我々は、この系の電荷特性と磁気特性を、光学応答の面外磁場に対する依存性とゲートで調整したキャリア密度に対する依存性を測定することによって調べた。その結果、第一正孔モアレ超格子バンドの半充填において、強相互作用領域のハバードモデルで予測されるとおり、反強磁性キュリー・ワイス挙動を示すモット絶縁体状態が観測された。実験からは、半充填を超えると、充填率0.6付近で反強磁性状態から弱い強磁性状態への量子相転移が起こっている可能性が示唆された。今回の結果は、三角格子ハバードモデルで記述される強相関物理の問題のシミュレーションに使用できる、新しいモアレ超格子系固体プラットフォームを確立するものである。

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