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腫瘍免疫学:生体直交系から明らかにされたピロトーシスの抗腫瘍免疫機能

Nature 579, 7799 doi: 10.1038/s41586-020-2079-1

細胞死や免疫などの生物学的過程を調べるには、生きた動物で作動できる生体直交型化学反応が必要である。最近の研究で、インフラマソーム依存的および非依存的ピロトーシスを起こす、ポア形成性タンパク質のガスダーミンファミリーが特定されている。ピロトーシスは炎症性であるが、ピロトーシスが抗腫瘍免疫に及ぼす影響は分かっていない。今回我々は、ある生体直交型化学系を確立した。この系では、細胞に入ることができるがん画像化プローブのフェニルアラニントリフルオロホウ酸(Phe-BF3)が、シリルエーテルを含む設計されたリンカーを脱シリル化して「切断」する。この系により、マウスにおいて抗体–薬剤抱合体から薬剤の放出を制御することが可能になった。マウスでナノ粒子による送達と組み合わせた場合、Phe-BF3が触媒する脱シリル化によって、活性なガスダーミンなどのクライアントタンパク質を、ナノ粒子抱合体から腫瘍細胞内選択的に放出させることができた。この生体直交系をガスダーミンに適用したところ、腫瘍細胞の15%未満のピロトーシスのみで、4T1乳腺腫瘍移植片全体を消失させるのに十分であることが明らかになった。この腫瘍退縮は、免疫不全マウスあるいはT細胞枯渇の場合には起こらず、抗腫瘍免疫応答の増強と相関していた。効果のない低用量のナノ粒子抱合ガスダーミンをPhe-BF3と共に注入すると、4T1腫瘍が抗PD1療法に感受性になった。従って、我々の脱シリル化を基盤とする、Phe-BF3に基づく生体直交系は強力な化学生物学的手法であり、この系の適用から、ピロトーシス誘導性炎症がロバストな抗腫瘍免疫を引き起こし、チェックポイント阻害と相乗的に作用し得ることが示唆される。

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