生化学:小胞体で機能するグルコシルトランスフェラーゼALG6の構造と作用機構
Nature 579, 7799 doi: 10.1038/s41586-020-2044-z
真核生物のタンパク質のN結合型糖鎖付加では、一連のグリコシルトランスフェラーゼが触媒してドリコールピロリン酸に結合したオリゴ糖がまず生合成され、それらが受容体であるタンパク質へと転移する。糖鎖付加の最後の7段階は小胞体内腔で起こり、ドリコールリン酸により活性化されたマンノースとグルコースが供与体基質として必要とされる。反応に関わる酵素のALG3、ALG9、ALG12、ALG6、ALG8とALG10はCスーパーファミリーに属するグリコシルトランスフェラーゼ(GT-C)であって、これらの酵素は膜貫通ヘリックスを持ち、イソプレノイドに結合した糖供与体を基質としてプロセシングすることを主な特徴とする。今回我々は、酵母ALG6の3.0 Å分解能でのクライオ電子顕微鏡構造を示す。この構造によって、膜貫通タンパク質の以前に記述されたことがなかった折りたたみ方が明らかになった。すでに報告されているGT-Cの構造との比較から、GT-C酵素群は保存されたモジュール1つと可変型のモジュール1つからなるモジュール型構造を持ち、各モジュールは別々の機能的役割を担っていることが示唆された。我々は、ドリコールリン酸に結合した糖の合成類似体、ドリコールピロリン酸に結合した糖の合成類似体、そして酵素によるグリカン鎖伸長法を使い、ALG経路の精製された酵素群を用いて基質となる供与体と受容体を産生させ、in vitroでALG6の活性を再現した。そして、ドリコールリン酸-グルコースの類似体と結合したALG6の3.9 Å分解能で得られた第二のクライオ電子顕微鏡構造から、酵素の活性部位が明らかになった。ALG6バリアントの機能解析により、触媒活性を持つアスパラギン酸残基が明らかになり、これはおそらく一般塩基として作用していると思われる。この残基はGT-Cスーパーファミリー中で保存されている。我々の結果によって、小胞体内腔に存在するGT-C酵素群の構造が明らかになり、それらの触媒機構を理解するための構造基盤が得られた。

