神経免疫学:IL-17aは神経発達障害マウスモデルにおいて社会性を高める
Nature 577, 7789 doi: 10.1038/s41586-019-1843-6
自閉症スペクトラム障害の小児の一部は、全身性の炎症の徴候の1つである発熱の経過期間中に行動症状の改善を示すように見える。今回我々は、マウスで、社会的行動障害に対して炎症が持つ有益な影響の基礎となる分子機構と神経機構を解明した。胚形成期に母体免疫活性化(MIA)にマウスを曝露させた環境型神経発達障害モデルと、Cntnap2(contactin-associated protein-like 2)、Fmr1(fragile X mental retardation-1)あるいはShank3(Sh3 and multiple ankyrin repeat domains 3)を遺伝的に欠失させたマウスモデルとを比較したところ、MIAに曝露された仔マウスで見られる社会的行動障害は、リポ多糖(LPS)投与で誘発される炎症応答によって一時的に救済できることが明らかになった。この行動の救済に伴って、一次体性感覚皮質の異顆粒帯(S1DZ)におけるニューロン活動が低下した。S1DZの活動亢進は、MIAに曝露された仔マウスで見られる行動表現型の発現と関連することが、以前に示されている。対照的に、単一遺伝子型モデルでは、LPS誘導性の社会的障害救済は観察されなかった。我々は、MIAモデルと単一遺伝子型モデルの間のLPS投与への応答性の違いは、サイトカイン産生レベルの違いから生じていることを実証する。単一遺伝子変異体マウスへのLPS投与では、MIA仔マウスで誘導されるインターロイキン17a(IL-17a)の量に匹敵するIL-17a量が誘導されなかった。IL-17aをS1DZに直接送達してこの違いを回避すると、単一遺伝子変異体マウスでもMIA仔マウスと同様に社会性を高めるのに十分であった。逆に、S1DZのニューロンでIL-17受容体サブユニットa(IL-17Ra)の発現を阻害すると、MIA仔マウスで社会性表現型を回復させるLPSの能力が失われた。我々のデータは、炎症中のIL-17aの産生が中枢神経系のニューロン活動に直接影響を及ぼすことによって社会的行動障害の発現を軽減し得るという、神経発達障害の根底にある神経免疫機構を支持するものである。

