太陽物理学:赤道コロナホールから出現する高度に構造化された低速度太陽風
Nature 576, 7786 doi: 10.1038/s41586-019-1818-7
太陽活動が最小となる太陽極小期に、太陽風が、コロナホール内の深部に由来する主に速くて(秒速500 kmを超える)非常にアルヴェン波的なプラズマの希薄流として高緯度域で観測されている。黄道面により近い領域では、太陽風には秒速500 km未満のより変わりやすい低速度風が散在している。こうした低速度風の流れの正確な起源はよく分かっていないが、理論と観測から、その起源は、ヘルメットストリーマーの先端部、コロナホール境界付近の交換型リコネクション、高度に発散した磁場を有するコロナホールの内部である可能性が示唆されている。太陽風を駆動するのに必要な加熱機構もまだ解明されていないが、機構の候補としては、アルヴェン波乱流、ナノフレア内のリコネクションによる加熱、イオンサイクロトン波過熱、熱勾配による加速などがある。太陽風は1天文単位離れると混合して進化するため、こうした生成源や過程に関する多くの特徴的な構造は失われる。本論文では、パーカー・ソーラー・プローブによる太陽半径の36〜54倍の所での観測結果を提示し、低速度のアルヴェン波的な太陽風が赤道直下の小さなコロナホールから生じるという証拠を示す。測定された磁場は、大きく間欠的なパッチ状の逆転を示し、こうした逆転はプラズマのジェット流や増強されたポインティングフラックスと関連していて、ほぼ動径方向の磁場を伴う滑らかであまり乱れていない流れの中に散在していた。さらに、プラズマ波の測定からは、プラズマ加熱と熱化の過程に関連する、電子とイオンの速度空間での微視的不安定性の存在が示唆された。今回の測定結果は、太陽風の加速に関連する瞬発的な機構があることや、微視的不安定性が加熱に関与していることを示しており、我々は、低緯度コロナホールが低速度太陽風の重要な生成源であることを示す証拠を提示する。

