Article

がん遺伝学:診断時と再発時のETMRの分子的全体像

Nature 576, 7786 doi: 10.1038/s41586-019-1815-x

多層性ロゼットを有する胎児性腫瘍(ETMR)はアグレッシブな小児脳腫瘍であり、ほぼ例外なく予後が不良である。今回我々は、193例の原発性ETMRとそれに対応する23例の再発性試料を集め、この独特な腫瘍タイプのゲノム全体像を調べた。その結果、ドライバーと考えられているC19MCの増幅が起きていない腫瘍を有する患者は、DICER1の生殖系列変異、またはマイクロRNAに関連した他の異常[miR-17-92(別名MIR17HG)の体細胞性増幅など]を高頻度で持つことが分かった。全ゲノム塩基配列解読から、腫瘍では一塩基バリアント(SNV)の全体的発生頻度は低いが、Rループ構造が至る所で生じるためにゲノム不安定性が広範囲に見られることが明らかになった。我々は、Rループに関連した染色体不安定性は、DICER1機能の喪失により誘導され得ることを示す。原発性腫瘍とそれに対応する再発性腫瘍の比較から、構造バリアントは強く保存されているが、SNVはあまり保存されていないことが分かった。さらに、新たに獲得されたSNVの多くは、シスプラチン治療に関係した変異シグネチャーと関連していた。また我々は、Rループをトポイソメラーゼ阻害剤やPARP阻害剤で標的とすることが、この致命的な疾患の効果的な治療戦略となり得ることを示す。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度