Article

幹細胞:MLLT3はヒトの造血幹細胞の自己複製と生着をつかさどる

Nature 576, 7786 doi: 10.1038/s41586-019-1790-2

ヒトの造血幹細胞(HSC)の自己複製をつかさどる機構や、培養ではHSCを自己複製させることができない理由についての知識は限られていて、それが移植のためにHSCを増殖させる障害となっている。今回我々は、MLLT3(別名AF9)がHSCの重要な調節因子であり、ヒトの胎児のHSC、新生児のHSC、成人のHSCで非常に豊富に発現しているが、培養では発現が低下していることを突き止めた。培養でMLLT3が枯渇すると、移植可能なヒトの造血幹・前駆細胞(HSPC)の維持が妨げられるが、培養でMLLT3の発現を安定させると、移植可能なHSCを12倍以上増幅させることが可能になり、これらのHSCはマウスの一次および二次レシピエントにおいて、多細胞系譜によるバランスの取れた再構築を示した。培養で過剰発現させたMLLT3は内因性MLLT3と同様に、HSPCの活性なプロモーターに局在化して、H3K79me2のレベルを維持し、HSCの転写プログラムを保護した。従ってMLLT3はHSC維持因子として働いてヒストン読み取り因子と修飾活性を結び付けてHSCの遺伝子発現を調節しており、移植のためにHSCを増殖させる有望な手法を提供する可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度