構造生物学:マイコバクテリアVII型分泌装置の構造
Nature 576, 7786 doi: 10.1038/s41586-019-1633-1
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のような病原性マイコバクテリアの宿主感染は、VII型分泌装置により分泌される病原性因子によって促進される。VII型分泌機構の分子レベルでの解明は、完全に組み立てられた分泌装置の三次元構造が得られていないことで妨げられている。今回我々は、スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)由来のESX-3/VII型分泌装置について、膜に埋め込まれたコア複合体のクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を報告する。ESX-3分泌機械の中核部分は、EccB3、EccC3、EccD3およびEccE3という4つのタンパク質成分からなり、これらが化学量論的に1:1:2:1の比率で存在していて、2つの同一なプロトマーを形成している。共役タンパク質EccC3では、4つのATPアーゼドメインが並んだ柔軟な列がストークドメインを介して膜と連結している。ストークに近接しているDUF(domain of unknown function)ドメインは、分泌に必須のATPアーゼドメインであることが明らかになった。EccB3は主にペリプラズムに存在するが、小さなセグメントが膜を横切ってストークドメインと接触している。これは、EccC3の遠方端への基質の結合によって引き起こされたストークドメインでのコンホメーション変化とそれに続くDUFでのATP加水分解が、ペリプラズムへの基質分泌と共役している可能性を示唆している。我々の結果は、VII型分泌装置の構造が他の既知の分泌機械と著しく異なることを明らかにしていて、その構造の理解をもたらすものであり、こうした理解は細菌の病原性を標的とする抗微生物戦略の設計に役立つだろう。

