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進化学:白亜紀の化石から明らかになった哺乳類中耳の新たな進化パターン

Nature 576, 7785 doi: 10.1038/s41586-019-1792-0

哺乳類の中耳の進化は、現生動物種の胚発生がその系統の進化史を反映するという「反復」説の一例であると考えられている。発生生物学および古生物学の双方から蓄積されたデータからは、哺乳類では、顎の歯骨後方の骨の、頭蓋の耳小骨への変化が複数回起きたことが示唆されている。また、保存状態の良好な化石からは、哺乳類中耳の進化における移行段階がいくつも明らかになっている。しかし、哺乳型類の異なる複数のクレードで、これらの歯骨後方の骨がなぜ、どのように歯骨から完全に分離したのかなど、中耳の進化に関してはまだ疑問が残されている。本論文では、多丘歯類エオバータル科の哺乳類に保存されている最終哺乳類中耳(definitive mammalian middle ear;DMME)について報告する。この中耳では、歯骨後方の骨が全てそろっており、保存状態が良好で、歯骨から分離している。この標本からは、顎の上角骨が独立した骨要素から中耳の槌骨の一部へと変化したこと、そして耳小柱状の鐙骨と平たい砧骨の間に限定的な接触が存在したことが示された。我々は、哺乳型類ではこの槌骨–砧骨間の関節の接続様式には、2つの骨が隣り合う配置と互いにかみ合う配置の2通りがあり、これは歯骨–鱗状骨関節の進化的分岐を反映していると提案する。系統発生学的解析から、今回の標本のような異獣類におけるDMMEの獲得は、単孔類や真獣類での哺乳類中耳の獲得とは独立したものであったことが分かった。今回の知見は、異獣類での一次顎関節と二次顎関節の共進化が、独特な後退咀嚼(palinal chewing;縦方向の後方へ引くかみ方)による摂食を可能にする進化的適応であったことを示唆している。従って、異獣類の聴覚器官の進化は、おそらく摂食器官の機能的要求によって引き起こされたと考えられる。

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