冶金学:高強度超微粒チタン合金の積層造形
Nature 576, 7785 doi: 10.1038/s41586-019-1783-1
三次元(3D)印刷と呼ばれることの多い積層造形は、部品を一層ずつ作り上げるプロセスで、最終的な形状に近い部品を作製できる有望な方法である。この手法では、非常に複雑な製品が少ない廃棄材料で得られるため、従来的な製造プロセスの地位を脅かしている。積層造形で作られるチタン合金は、さまざまな産業での応用に用いられてきた。しかし、溶融に基づく金属積層造形プロセスは、本質的に冷却速度が速く温度勾配が大きく、このため超微細組織が形成されることが多く、特にチタン系合金ではほぼ例外なく柱状の結晶粒が形成される傾向がある。(積層造形法で作製されたチタン部品における柱状の結晶粒は、機械特性の異方性の原因となる可能性があり、望ましくない。)積層造形のパラメーターの最適化の試みからは、条件を変えてチタンの結晶粒の等軸成長を促進させるのは困難であることが示されている。アルミニウムなどの他の一般的な人工合金と異なり、チタン向けには、組織を効果的に微細化できる市販の結晶粒微細化剤はない。今回我々は、この課題に取り組むために、固化中の合金化元素の分配に起因して高い組成的過冷却能を持つチタン銅合金の開発について報告する。こうした組成的過冷却によって、積層造形中のレーザー溶融領域における大きな温度勾配の悪影響を無効にすることができる。特殊なプロセス制御や追加的処理を行わずに印刷された今回のチタン銅合金試料は、そのままで完全に等軸な微細粒組織を持つ。この試料はまた、製造プロセスにおける冷却速度の速さと複数の熱サイクルを利用した結果として超微細共析組織が形成されるため、同様の造形条件下で得た従来の合金と比べて高い降伏強度や一様な伸びなど、有望な機械特性も示す。我々は、今回の方法が他の共析形成合金系に適用でき、航空宇宙産業や生物医学産業に応用されると予想する。

