構造生物学:有糸分裂からG1期に移行する間のクロマチン構造の動的変化
Nature 576, 7785 doi: 10.1038/s41586-019-1778-y
クロマチンの高次構造の特徴[例えばA/Bコンパートメント、トポロジカルドメイン(TAD)、クロマチンループなど]は、有糸分裂の際に一時的に破壊される。このような構造は遺伝子調節に影響すると考えられているので、これらが有糸分裂後にどのようにして再建されるのかを解明することは重要である。今回我々は、高度に精製したマウス赤芽球の同期した集団で、有糸分裂後の染色体再組織化の動態をHi-C法によって解析した。その結果、A/Bコンパートメントは迅速に再建され、その後次第に強化・拡大されていくことが分かった。接触領域は「ボトムアップ」方式、つまり最初にTAD以下の小さい領域が形成され、次いでそれらが集まって多ドメインのTAD構造が生じる。CTCFは有糸分裂染色体でも部分的に保持され、有糸分裂後期/終期に完全な結合が直ちに復活する。これとは対照的に、コヒーシンは有糸分裂染色体から完全に排除され、特定の部位への結合の復活はよりゆっくりした速度で起こる。CTCF/コヒーシンにより係留される構造ループの形成は、コヒーシンの配置の動態に従って起こる。CTCFによって係留された縞状の接触パターンは長く伸びていき、これは有糸分裂後のループ突出過程と一致している。シス調節エレメント間の相互作用は速やかに形成されることがあり、その速度はCTCF/コヒーシンで係留された接触の形成速度を上回る。後期/終期にシス調節エレメント間に一群の一時的接触が急速に生じ、これらがG1期に入ると解消し、それと同時に内部の境界や隣接する抑制性クロマチンループが形成されることが分かった。また、転写の再活性化と構造的特徴との関連も明らかになった。これらの知見は、別々だが相互に影響し合う力の働きにより、有糸分裂後のクロマチンで立体配置の再構成が推進されることを示している。

